文化・芸術

マタイ受難曲を聴くなら…

シュッツ:マタイ受難曲

買ったきっかけ:
マタイ受難曲と言えば、バッハのものを指すことが多いのですが、シュッツはバッハからさらに100年前に作曲家です。

感想:
バッハのものに比べると、曲調は淡々としていて、地味かも知れません。しかし、新約聖書マタイによる福音書の文言をそのまま、歌うように朗読していくのです。

おすすめポイント:
ドイツ語の新約聖書を手もとに置いて、聴いてみると内容がよくわかるでしょう。イエス・キリストの十字架の道行きが美しメロディーにのせて語られます。
最後の切り絵がイエスをたたえる合唱は、とても心に響きます。

シュッツ:マタイ受難曲

アーティスト:フレーミヒ(マルティン),ドレスデン聖十字架合唱団,ボルスター(ヘルマン・クリスティアン),ロッチュ(ハンス=ヨアヒム),ヴァッハスムート(ハンス=ユルゲン),シュプリングボルン(ペーター=フォルカー),ウーデ(アルミン),シュティーア(ゴータルト)

シュッツ:マタイ受難曲

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モローラ ―灰―

3月12日、NHKのテレビで、「モローラ ―灰―」ギリシャ悲劇オレスティア三部作より を見ました。

〈 台本・演出 〉 ヤエル・ファーバー 、〈出 演〉 ファーバー・ファウンドリーによるものです。内容は、ギリシア悲劇オレスティア三部作を翻案として書かれたもので、現代南アフリカが舞台の場面となっています。

もとのギリシア悲劇は、 父を殺した母に対して、娘と息子が復讐をする物語で、ははおやは息子の手にかかってしまいます。しかしモローラでは、最後の最後で息子が母に手をかけることを止めるのです。振り下ろそうとする斧を捨てて、代わりに握り拳を天に向けて劇は終わります。

ヤエル・ファーバー は、報復に報復を持って報いる復讐の連鎖を断ち切らなければ、真の平和は訪れないことを訴えています。

なかなか見応えのある劇でした。特に、ギリシア悲劇では重要な要素であるコーラスを、南アフリカ・コーサ族のンゴコ女性文化合唱団が演じ、それが物語の流れを非常に心に響くものに引き上げていました。

ギリシア哲学の考えでは、運命は決定的です。運命は人間のどのような努力によっても変えることはできません。ですから、妻が夫を殺し、子どもたちが母に復讐をするということも、運命の中に位置づけられている、その逃れられない運命の中に人間の悲劇を描いているようにも思えます。
しかし、「モローラ」はこの鎖を人の意志によって断ち切りました。最後に場面で、力強く挙げられたオレステスの拳は、そのことを強く教えているようにも思えます。

久々に、心に響く劇でした。

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